旧年中は大変お世話になりありがとうございました。とりわけ、新型コロナウイルス感染症対応に今なおご尽力されています医療従事者の皆様、行政をはじめ関係機関に従事する皆様のご苦労に対しまして改めて感謝を申し上げます。また、陽性患者搬送業務を担ってきましたアクト特別班・実動チーム、それを支えてきた仲間の加盟事業者の皆様にも改めて敬意を表する次第です。

さて、アクトは今年2月で設立10周年を迎えます。この間、多くの皆様にお支えいただき、発足当時の9事業者から42事業者で運営する中部地区最大のネットワーク事業に育てていただきました。ただ、アクトの歴史もさることながら、「介護タクシー」と呼ばれる福祉輸送限定事業者としての業界の歴史も浅く、必ずしも利用者の実情に即していない運賃、料金設定の在り方など、まだまだ課題が山積しています。他方で、救急車の適正利用の観点から緊急性のない患者搬送を民間事業者に委託するという新たな手法について、その必要性を訴える議論が巻き起こっています。

今回、名古屋市から委託を受けた新型コロナウイルス感染症における陽性患者搬送業務は、まさに救命救急という医療現場、第一線で活躍すべき救急搬送業務の逼迫がきっかけとなりました。現在、「介護タクシー」の所管は国土交通省ですが、医療搬送となれば総務省・消防庁もしくは厚生労働省が本来携わるべき事業です。

「介護タクシー」から「民間患者搬送事業者」へ――業界の社会的役割とその社会資源を確保していくことが、設立10周年を迎えたアクトの次なる目標です。引き続きのご支援を、アクトがめざす民間患者搬送事業に対するご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。

令和４年　元旦
一般社団法人　福祉・介護移送ネットワークＡＣＴ
代表理事　鎌倉　安男